​近視進行抑制

近視をより進行させる要因として、遺伝的要素と環境的要素の2種類があると最近のコホート研究で示されている。
 

まず、遺伝的要素についてだが、2000年前後にアメリカ・シンガポール・オーストラリアで行われた児童の近視に関する主なコホート研究によると、共に近視である両親から生まれた子供は、共に近視でない両親の子供に比べて近視になるリスクが7~8倍高く、片親のみが近視の子供は近視になるリスクが2~3倍高いことが示された。しかし近視眼自体が遺伝するわけではなく、近視のなりやすさが遺伝しているという可能性が考えられる。
 

環境的要因については、屋外より室内で費やす時間が長かったり都市化やIT化などがあるか、有力な要因として近方での作業時間が長いことについて述べよう。1990年代にEarl Smith3世がサルを使った研究から発達途上の眼には、与えられた視覚的環境に順応するように眼軸長を伸展させる能力、すなわち眼軸長の視覚制御機転(visual regulation of axial length)が働くと結論付けた。眼球は青年期になるまで成長を続けるが、屈折力と眼軸長が調和していれば近視化は起こらず、最近では調和を保つ上でクリアな網膜像が眼軸の伸長を止める信号になっていると考えられるようになった。つまり、過度な近業作業は近視の要因にならず何か他の要因があると発覚した。
 

その他の要因としてあげられたのがプラス調節ラグである。一般的には視距離が短くなるほど調節反応は鈍り網膜後方への焦点ずれ(調節ラグ)が発生する。
このプラス調節ラグにより眼軸長の視覚制御機転が働き近視が進行するという説である。

1993年Jane Gwiazdaらは正視の学童に対して近視の学童ではラグが大きいことを報告した。近視になるメカニズムとして、近業時に必要な調節力の負担を減少させるプラスラグが眼軸長の視覚制御機転を働かせ結果的に近業時の調節負担は減少するが遠見時には眼軸が伸びた分だけ焦点が網膜前方に位置して近視になるとされている。
以前までは、1965年に日本の所敬教授らは近視低矯正眼鏡装用群と完全眼鏡矯正装用群で比較した研究では、前者では近視進行や眼軸長伸長が小さくなることを報告した。
そのため近視を弱く矯正する眼鏡を好む医師や患者もいた、近視を低矯正にすることで近視進行を抑制する理論は古い考えである。現在では、ランダム化比較試験により低矯正眼鏡の装用群で近視進行や眼軸長伸長が大きくなる傾向があると考えられている。

 

それでは、現在近視進行抑制として効果が高い方法は、
・マルチフォーカルソフトコンタクトレンズ
・オルソケラトロジー
・抗ムスカリン点眼薬
があげられる。

 

まず、マルチフォーカルソフトコンタクトレンズについて述べよう。
マルチフォーカルソフトコンタクトレンズは累進多焦点のコンタクトレンズで中心部分は遠用の屈折度数、周辺部分は近用の屈折度数になっているという構造である。
1990年にDr.Allen、2011~13年Dr.AnsticeとDr.Phillipsは、近視の小児(11~14歳)を対象にマルチフォーカルソフトコンタクトレンズを装用させ近視の進行の試験を行った。そうすると近視の進行が50%遅くなり眼軸長の伸展が50%遅くなった。近視進行を抑制するために最も効果的な光学部の設計は網膜中心窩部分では完全矯正で網膜周辺部では近視性のボケを作ることであると結論付けた。

 

また、オルソケラトロジーも同様に網膜中心部分では焦点が合い周辺部分では近視性のボケを作ることができる。夜寝ているあだにハードコンタクトレンズを装用し、角膜中心部を圧迫し形状を変化させて近視の矯正するという仕組みになっている。
2005年以降、香港のDr.Pauline choやアメリカのDr.Jeff Wallin他6つの研究でオルソケラトロジーにより30~50%程度近視の進行を抑制することを発表した。

 

最後に、抗ムスカリン点眼薬についてだが、動物実験や近視学童を対象とした臨床試験で、ムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬であるアトロピンを点眼することにより近視進行や眼軸の伸展を抑えることができた。
問題は、アトロピン点眼薬の濃度になるが当初0.05~1%1日1回の点眼で効果は平均0.65D/年というとても強力であった。しかし副作用として散瞳・調節麻痺点眼中止後にリバウンドのように近視進行するなどの症状が出た、そこで2012年シンガポールの国立眼科センターから0.01%の低濃度のアトロピン点眼でも1%と同様の強力な予防効果が得られたとの臨床データの発表があった。副作用も軽微なものであり約60%の抑制効果が得られた。現在日本の7つの大学でも臨床試験が行われている。

 

2014年にアメリカ ラスベガスで国際特殊レンズシンポジウム(Global Specialty Lens Symposium)が行われた。
そこでは、Dr.Wellineが小児の近視進行に対する数種類の対処法の有効性について相対的に比較した。
・低矯正眼鏡(-19%)
・二焦点・累進多焦点眼鏡(18%)
・オルソケラトロジー(42%)
・マルチフォーカルソフトコンタクトレンズ(52%)
・アトロピン(76%)
という結果が得られ、-%側は近視がより進行しやすく+%が高いほど近視進行を防ぐことができるとのことだった。

 

最近では、2016年度末に慶應義塾大学の研究で360~400nmの光(バイオレット光)は近視進行を抑制するという結果を発表した。人間が目で見える光の波長はJIS規格によると下界は約360~400nm、上界は約760~830nmと定義されている。また、可視光線は通常害のあるものではないが360~400nmのように、かろうじて紫外線ではないものの、短波長なので調節障害や白内障などの眼病のリスクを高める要因の一つになる可能性はなくない。研究の成果は13~18歳の学童においてバイオレット光を透過する(透過率80%以上)コンタクトレンズを装用している群の眼軸長伸長量は0.14㎜/年、バイオレット光透過を抑制した(透過率80%未満)コンタクトレンズを装用している群の眼軸長伸長量は0.19㎜/年であった。眼軸長伸長量差は0.05㎜/年であるが、これは6年6か月ほどで1Dの近視進行の抑制が可能という計算になる。ラスベガスの国際特殊レンズシンポジウムでの数種類の有力な対処法に比べると効果があまり高くないと考えられる。

 

当店では、コンタクトレンズの取り扱いはしておらずオルソケラトロジーやマルチフォーカルソフトコンタクトレンズなどの処方はできかねますが、眼鏡での累進多焦点レンズや完全矯正(補正)の処方法をとりいれております。
視力という観点だけでなく眼の健康状態・予防、快適な両眼視、お客様一人一人にピッタリと合った視生活を提供することが当店のモットーです。

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